NEW CONSTRUCTION

トリプルスキンの家

フラワーアーティストのための住宅。植物に囲まれながら、環境と対峙するのではなく柔軟に調整し自然と積極的に関わりながら生活するための工夫が、結果として燃費に優れたエコ住宅となりました。農業用部材を転用した温度センサー付きの温室は冬季の暖房費を節約し、夏期には防虫網付きのルーバー引戸が夜間も施錠したままでの換気、排熱を可能にします。大きく張り出した庇は夏の日差しをカットし、逆に冬には太陽光を室内によびこみます。また、植物も建物も風が通らなければ窒息してしまいますので、この住宅は隣の建物の影響を抑えるため、敷地の幅いっぱいではなく真ん中に配置し、1年を通して日射量と同様に大切な風の道を確保しています。住宅内部も建具は引戸と医療用のカーテンを組み合わせ、プライバシーを保ちつつ、すみずみまで風がいきわたるようにデザインされています。これらの工夫の多くは、実は伝統的な日本家屋には当然のように実装されているものばかりです。軒、濡縁、広縁、座敷と連続するしつらえが、この住宅の発想の原点です。濡縁を防虫網付きルーバーや温室で囲い、木造のフレームを鉄骨に差し替えバリアフリーにすれば、トリプルスキンの家の出来上がりです。
Photo:Kimikazu Tomizawa

 

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松の家

平塚市袖が浜の海岸付近に位置する夫婦と子供2人のための住宅です。この敷地にはずっと以前から防砂林として植林された8本の松が放置されていましたが、クライアントの英断により、全ての松は新しい住宅と積極的に共存するため残されることになりました。そこで、まずはこの8本の松の詳細な測量から設計をスタートさせ、そして枝ぶりを注意深く検討しながら、相対的に小さなスペース群を鉄筋コンクリートで幹の隙間を縫うように、その他大きなスペース群を枝を囲うように鉄骨造の開放的なボリュームとして配置することにしました。ここでは入り組んだ各コーナーは松と絡み合い、外観も内からの眺めも松と住宅がお互い依存しあい一体化することを目指しています。また、外壁は塩害対策と同時に経年変化を演出するため、銅、米杉、漆喰を選択し、松を優先したため十分ではなかった日射のコントロールを外付ブラインドによって補完しています。第48回神奈川県建築コンクール優秀賞受賞。
Photo:Kimikazu Tomizawa

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SLICE

全国の市で一番小さく東京特別区に次いで人口密度の高い埼玉県蕨市の住宅地に計画された、コンテンツプロデュース事業、フルフィルメント事業、ITソリューション事業などを展開する会社の本社ビル。住宅密集地のなかに、巨大なiPadのような一面のみをスライスしてガラス張りにした建物を挿入することによって、この会社の事業イメージを表すと同時に、このような典型的な密集地に連なる、建物と建物の間の永遠に影に閉ざされてしまう隙間をオープンで風通しのいい場に変える事を目指しました。通常のウラをオモテとして見立てているので、建物内部からは住宅密集地にもぐりこんだような、そして最上階では屋根越しの風景が展開し、普段見慣れた道路側の景色とは違う感覚を体験できます。
Photo:Kimikazu Tomizawa

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